大腿骨頚部骨折術(内側骨折、外側骨折)

術後入院期間14〜28日間

大腿骨頚部骨折とは太ももの骨(大腿骨)の付け根に近い部分の骨折です。
若者の場合高エネルギー外傷(強い力)により発生する場合がありますが、多くは骨粗鬆症の進んだ高齢者、女性に起こります。
95%は転倒で発生し、日本では年間約10万人が受傷、今後高齢化社会が進むにつれてさらに増加が予想される重要な骨折です。

骨粗鬆症の進行した老人では、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)、肩の付け根の骨折(上腕骨頚部骨折)、 背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)と太ももの付け根の骨折(大腿骨頚部骨折)が4大骨折と呼ばれており、 非常に軽微な(ベッドからの移動や軽くぶつけただけ)外傷でも発生します。
この中でも単なる骨折にもかかわらず、体動困難となり色々な合併症(床ずれや肺炎、認知症など)を引き起こし生命に関わる重要な骨折が、大腿骨頚部骨折です。

大腿骨頚部構造図

この骨折には2種類あります。

1.大腿骨頚部内側骨折

(関節包内骨折:一般に大腿骨頚部骨折)

2.大腿骨頚部外側骨折

(関節包外骨折:大腿骨転子部.転子下骨折を含む)

他の骨折と異なり早期リハビリを行う為、骨折のずれ(転位)が少なくても手術適応があり、 どちらの骨折もほとんどの場合手術が必要です。
これは骨折により数日間寝ているだけでも、肺炎や膀胱炎、床ずれ(褥瘡(じょくそう))、認知症の進行などの合併症が発生し、 体力の少ない老人では死に至る事があるからです。これらを防止する為には1日も早く手術を行い、 起こしてあげること(早期リハビリ.早期臥床)が最も良い方法とされています。
骨折した部位が関節包内か外かによって手術方法が異なります。これは関節の外側では血流が良いため骨がくっつきやすく、 内側では血流が乏しく骨がくっつきにくい為です。

1.大腿骨頚部内側骨折の場合

スクリューなどで骨接合を行っても骨頭への血流が悪いために骨頭壊死(こっとうえし)を起こすという合併症が約1/3に発症します。

ですから、はじめから骨折をつけることをせず、人工骨頭にすることになります。 ただし、骨折のタイプや患者さんの年齢、全身状態によっては違う手術法(骨接合術)を選択する場合があります。

人工骨頭置換術の場合は、骨折している骨を取り除き、大腿骨側は人工骨頭のステムという金属を髄腔内に挿入するために骨折面の形を整え、 ステムの幅に合わせて髄腔(ずいくう)を広げます。ステムを髄腔内に挿入した後、 セラミック製の骨頭ボールを装着して関節を元通りに整復したのち縫合(ほうごう)します。

骨粗鬆症やリウマチなどもともと骨質に問題がある場合には骨セメントを併用する場合があります。

大腿骨頚部内側骨折のX線画像

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2.大腿骨頚部外側骨折の場合

スクリューやプレートなど色々な金具を使用し固定します。しかしもともと骨質が低下(骨粗鬆症)している症例が多く、 骨折部に体重の3〜5倍の力が加わるため転位(ずれ)が発生しやすい。 (いわゆるヌカに釘になりやすい)部分とされており、むずかしい手術の一つです。
最近ではガンマー釘(髄内釘(ずいないてい))などの内固定器具の発達と手術技術の向上により、安定した成績が上げられています。

大腿骨頚部外側骨折のX線画像

輸血

骨折や手術による出血のため、輸血をする場合があります。

手術後療法、リハビリなど

術後は平均3日で車椅子移動、と同時に歩行訓練を開始します。
術後2〜3週間くらいで杖歩行訓練が開始します。2〜4週後にT字杖にて退院となります。
退院後2〜3ヶ月間はリハビリ通院をしていただき、その後は半年から1年ごとの定期健診となります。
(患者さんの全身状態、術前状態、骨折型によりことなる場合もあります。)

合併症

1.深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)

手術中および術後の安静臥床時に下肢の静脈の中に血栓ができ、これが動き出すことにより肺や脳、心臓に流れ血管を詰まらせることがあります。(3000人に1人;約0.3%)この予防のために血栓予防薬の投与や、弾性ストッキングの着用、術後早期からの加圧式ポンプを用いた足部マッサージを行います。

2.感染症

人工関節周囲に菌が入り、いわゆる化膿することがあります。(500人に1人;0.2%)ひとたび感染が起こると再手術、人工関節の抜去が必要になることがあります。感染予防のために抗生剤の点滴を行ったり、定期的な血液検査や診察を行っています。

3.脱臼

手術後に股関節を過度に屈曲、内転した場合に人工関節が脱臼することがあります。(約2〜3%)これを予防する為、術後には両脚の間に三角形の外転枕を置いたり、またトイレや入浴などの日常生活動作において股関節を過度に屈曲、内転しないよう指導してゆきます。

4.人工関節の弛み(人工骨頭置換術の場合のみ)

人工関節の耐用年数は約15〜20年とされています。主に人工関節と骨との間に弛みが生じ、再置換手術(人工物の入れかえ)が必要となります。大事な人工関節をより長持ちさせるため、重労働や過度の運動は避けていただき、杖の使用や定期健診を続けることをお勧めします。

5.偽関節(骨接合術の場合のみ)

骨がくっつかず関節のように動いてしまうことで、無理な荷重や不十分な固定による骨折部の動きにより発生します。いったん完成されてしまうと、手術のやり直しや骨(こつ)移植(いしょく)が必要となります。

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